情報プラットフォーム 2009年8月号 No.263

design デザイン特集

デザイン特集4
有限会社ほにや
〒780-0822
高知市はりまや町1-11-9
TEL.088-880-0020
FAX.088-880-0037
http://www.honiya.com

高知だからこそできるもの作りを

高知市の中心地、はりまや橋商店街の北約150mに、和柄を活かしたデザインを創作する「ほにや」はある。高知発、全国に広がっているよさこい祭りでは、自社チームのみならず、他チームの衣装制作やトータルプロデュースも手掛け、ほにやの魅力を存分に発揮している。

● 伝統文化を日常生活に

その特有の色彩や模様が、美しいと感じさせる日本の伝統衣装着物だが、現実的に着る機会は年々少なくなっている。ほにやは、日本の伝統文化の魅力を活かし、日常生活に取り入れたいと考え、試行錯誤しながら独自の和の世界を創りだしている。そのデザイン力を活かした創作活動は、和柄とナイロンやデニムなどの異素材を組み合わせた商品開発から、料亭などのトータルプロデュースに至るまで幅広く、いまや全国にその名を轟かせている。
 「太陽がさんさんとふりそそぐ高知だからこそできる、パワーを感じさせるもの作りをしたい。」当社が東京でも大阪でもなく、あえて高知に本拠地を置いている理由はそこにある。
 始まりは、のら着や作業着として使われた、高知の織物で作った子供服。そして、その織物を復活させたいと思っている現在。丈夫で元気が出るものを作りたいという泉社長の思いは、原点から変わらない。

● デザインの価値は

「地方の仕事で、デザインに対する理解を得ることは簡単ではありません。何でも数字で表せないものは、認められるのが難しいんです。」泉社長はそう話す。創作に必要な時間や労力だけでなく“感性”は、金額には換算しづらく、誰もが一目で理解できるものではない。
 「クリエイターは、まずお金よりも満足感を得たいと思っています。私達は依頼してくれた方のコンセプトや、使う方のことを考えた上で、自分達自身がほにやデザインを楽しみながら創ります。本人が楽しめていない仕事はやはり何か物足りません。何でもそうですが、まず経済ありきでは殺伐としてしまうと思いませんか?でも、まだまだデザインはタダだと思っている方もいて(笑)、苦労してます。」(泉社長)
 そんな中、当社が手掛けた他社製品のデザインの一つ、JAとさかみのトマト箱では、パッケージを変えたことが売上を伸ばすのに大きく貢献した。描かれたのは、地元夜須町の矢を射る祭りである百手祭とトマトを掛け合わせたもの。この売上増加効果により、今までデザインが持つ力を重く見ていなかった方たちの目を変えることもできたように感じたという。

また、デザインを任せきってもらえないという現状もあるようだ。もちろん、依頼者のコンセプトや外せないことは伝えてもらわないといけないが、ほにやにデザインを依頼した意味がないほどに“口出し”され、困ったこともあるという。
 ほにやは、女性向けのイメージが強いが、今年から男性向けの商品「龍馬ビズ」に取り組む。「龍馬ビズ」は、龍馬の前向きな生き方に共感する気持ちから生まれた。決してデザインだけに走るのではなく、時代を楽しみ、志を持って駆け抜けた龍馬の精神を伝えたいと思っている。
 「クールビズやウォームビズといった温度の調整だけでなく、この1枚着ることで、生き方に誇りと美学を持った人たちが増えたら…!」込められたそんな想いは、経済ありきで考える方には理解されないかもしれない。
 この不況の中、企業も行政も産業を発展させようと様々な取り組みを行っており、当社がこれに尽力する機会も増えている。人が美しい彩りや癒されるものに惹かれ、消費意欲を掻き立てられることを依頼者は知っているはずだが…。

日本に生まれたことを喜び、高知という田舎に暮らすことを楽しんでいる、そしてそのことを事業に上手く役立てている「ほにや」。
 泉社長の、常に前向きな姿勢と固定概念にとらわれない柔軟な発想に触れていると、デザイナーを信じて一緒に楽しむことは、産業発展の起爆剤になるのかもしれないという気持ちが湧いてくる。