情報プラットフォーム 2012年2月号 No.293

技術・アイデア活用 特集

地域の農具、石工具の鍛冶屋から鍛造技術を活かし
農機具等に展開している100年企業
株式会社 ササオカ

ササオカの商品群

ササオカのおこり

株式会社ササオカは、もともと、土佐市波介で鍬や石材(間知石)をはつる石工具を扱う地域の鍛造事業者として、初代の笹岡弥久次が創業(1914年)したものだった。その後、丸太等を引き寄せる「鳶口」に巡り合い、この製品の新たな製造方法を開発し、事業の幅を広げている。

その後も水田を掘り起こす馬具・牛具の農具開発を行い、1955年には愛知県の会社からアプローチのあった耕耘機用爪の製造にいち早く取り組み、1957年その量産化に取り組むために、個人事業所を笹岡鉄工株式会社として法人化し、笹岡重喜が社長に就任している。

その後、農業に使うための道具の需要を、同社の蓄積してきた鍛造技術を活かし、全国のユーザーの声に応える為の技術革新を重ね、耕耘機用爪に続き、芝刈、草刈刃、農業用アタッチメント、作業用機械、エンジン付きの管理機械と製品を順次高度化させ、今に至っている。

今、同社は、国内の耕耘爪のメーカーの一翼を担っているが、ものづくりに誇りを持ち、製造こそが同社の核であり、基盤だと考え、同社の商品を使い続けていただけるお客様の為に、また、共に製造に関わる協力工場を大切する、「信用は無限の財産なり」を経営理念にユニークな経営を行っている。

ササオカの「ものづくりの技」

市場ニーズから生まれるササオカの結晶体ササオカの製品は、芝刈・草刈刃にその特徴がみられる。ササオカの芝刈・草刈刃は、国内大手の芝刈・草刈機メーカーの株式会社共栄社に供給されているが、同社の草刈機械が国交省に使われる最大の理由は、毎分3,000の高速回転している草刈機の刃が、石にあたっても刃が欠けない、折れないところにあると言われている。

ササオカの芝刈刃は、ホンダの芝刈機にも搭載され、ヨーロッパやアメリカに輸出されているが、現地でも芝刈刃が製造されている。その品質保証のための試験方法は、高速回転させている刃の中に鉄棒を入れても刃が落ちる、折れることがないことを証明する衝撃試験と、折り曲げても折損しないことを証明する耐折試験が必要となるが、これが長年同社で実施してきた品質保証のための試験方法であり、世界標準になったものだ。

同社では、草刈、芝刈刃の品質試験でこの衝撃・耐折試験を実施し、少しでもひびがあれば、製品により異なるが、1ロット(*平均3000本)を全て廃棄している。この試験に耐えられる鍛造品製造技術、つまり、焼き入れ鍛造し硬くなった金属が、同時にこのような衝撃・耐折試験に耐えられる軟らかさを併せ持つ技こそが同社の技術的な強みの「熱処理技術」だ。

鍛造ロボット何故そんなことが、高知のようなものづくり産業が乏しく、中卒・高卒者で構成される同社の技術人材でなし得たのか?会社に訪ねると、このような答えが返ってきた。

「うちは、鍛造メーカーから起こった会社。現場のものづくりの視点を大事にしてきたカルチャーがここにはある。絶対に折れない刃も、金属材料メーカーと共同して材質を工夫してきたし、当社では、様々な材料を用い、どの材料をどのような温度でどれくらいの時間かけるとどうなるか等の様々なデータがうちには蓄積しているからだ。」と。

確かに、同社の工場には特別な機械があるわけでもない。コントロールも手動で設定している。しかし、それを動かすスタッフに、その知識が蓄積し、大事に継承されてきたからだろう。

ササオカの「育んだ経営理念」

熱間鍛造用加熱炉同社の本社工場は、須崎市浦ノ内立目717番地の浦ノ内湾を望む高台に建っている。自然あふれる地域の2haを超える敷地に工場と本社がある。製造業が集積するわけでもなく、ぽつんと1社そびえたつ孤高の会社だ。すぐれた製造技術だけでは、このような形になりえなかったのだろう。聞けば何度も経営危機があったようだ。その中で確立していった経営理念があったからに他ならない。

「信用は無限の財産なり」という経営理念に基づき、常にお客様第一主義に徹し、お客様のニーズに合わせ、お客様に満足いただける商品づくりに努力を重ね、それによってお客様の信用を勝ち取ってきたということだ。

そのようなお客様のニーズに応える姿勢があったからこそ、耕耘爪を使ってくれる末端のお客様からのリクエストがあり、その声に応えようと、設計開発においても、その発想は感覚で行い、性能をテストによって確認するといった手順の繰り返しによって製品の幅を、農機用アタッチメント、エンジン付きの作業機と広げてきた。

同社のものづくりを支えた考え方は、熱処理をコア技術とする生産技術を大事にしていくなかで、お客様のニーズを拾い上げ、新商品の企画開発を進め、徹底した品質管理したものを世に出し、お客様の信用をいただき、その満足を得たお客様からかけてくれる声に耳を澄まし、商品開発に活かしていくというようなサイクルを続けてきたと言えよう。

同社の経営基本方針は、「お客様第一主義に徹する。」「重点主義に徹する。」「お客様のニーズにあわせて我社を創造する。」。お客様あっての事業、変化する市場をにらんで、お客様の要望に応えていこうとする姿勢がここにはある。

ササオカの「商品シリーズ」

このような歩みを通して、現在同社では、OEM生産を通じて培ったノウハウを活かして開発した同社初の自社製品「耕太郎」、かつて高知の上場企業だったスズエの小型耕耘機を継承した管理機の「菜さく」を筆頭に、トラクターや管理機用の畝づくり深掘り用と様々な用途に向けたアタッチメント、各種鍛造品の耕耘爪や芝刈・草刈刃の製品群をそろえている。

ササオカのこれから

これからササオカがどう歩んでいくか、今考えていることは二つある。

一つは、日本の農業を元気にする方向として、高品質化に対応した農業に向け、これまで培ってきた様々な「土の扱い技術」を活かし、少量でもお客様が欲しい農業機械を開発していこうと考えている。ニッチ機械でもという、ロットが少なくても独特の機械が欲しいユーザーは存在し、そのようなビジネスは競争に巻き込まれないメリットもあると考え、いいものを適正な価格でということだ。

もう一つは、海外展開だ。日本農業が持つ高いレベルの農営システムのノウハウを活かし、海外各国にない新たな農営システムを提案していくことで、生産販売の拡大を目指している。

株式会社 ササオカ

〒785-0164 高知県須崎市浦ノ内立目717番地
tel.0889-49-0341 fax.0889-49-0744
URL http://www.inforyoma.or.jp/sasaoka/