情報プラットフォーム 2012年2月号 No.293

技術・アイデア活用 特集

「だしが良くでる宗田節」ウェルカムジョン万カンパニー

全国の宗田節生産量の7割を占めているのが土佐清水市。

その宗田節も昨今の食の変化や消費低迷の中、売り上げ減少傾向にある。

そのような状況の中、地元に少しでも元気と活力を取り戻そうと、アイデア商品を作り出したウェルカムジョン万カンパニーの代表者、田中慎太郎さんに話を聞いた。

宗田節

昭和30年代、カツオの漁獲が減少し始め、カツオ節の生産が不安定になってきたことから、代替えの魚を模索。当時から安定的に獲れていた宗田カツオ(マルソウダ)を節にしてみたところ、カツオ節とは違う独特の香りと味が出ることが分かり、本格的な節づくりが始まった。

関西ではうどん、関東ではソバなどのつゆに欠かせないダシの一つとして使われるようになり現在に至っている。

地元のアイデア商品

大河ドラマ「龍馬伝」をきっかけに、土佐清水でも土佐・龍馬であい博のサテライト館ができることになり、そこで販売する目玉商品として、土佐清水らしさを出せる商品を開発し販売することが決定した。

やはり土佐清水といえば「宗田節」。削り節や節粉といった商品は数多くあるが、業務用が中心であったりと、まだまだ消費者への認知度は低い。

そこで、宗田節の特長を引き出し、消費者に分かりやすく使い勝手の良い商品づくりをコンセプトに開発が始まった。

当初、約10アイテムの候補があった。その中から、家庭用に使われていた「だし醤油」にスポットを当て、商品化することが決定した。

土佐清水市内には約20件の宗田節工場がある。そこで働いている方たちが自宅で常用している醤油に宗田節を入れ、自家製だし醤油として愛用していたということがヒントとなった。

容器に宗田節を入れるだけではあるが、これを商品化することに今まで気付かなかったというのが本音。まさにコロンブスの卵である。

醤油と宗田節の量など試作を重ね、納得のいく香りや味を引き出せるようになり完成したのが、地域の知恵とアイデアが融合した商品「だしが良くでる宗田節」である。

自宅で常用している醤油を、宗田節の入った容器に入れ、冷蔵庫で2週間ほど寝かせると特製の自家製だし醤油が出来上がる。

醤油は継ぎ足しながら使っても1年間だしが出続ける。

冷奴、めんつゆ、鍋料理につけだれ、焼魚など、いつもの醤油の代わりに使うとひと味違ったうまみが出てくる。

さらに、醤油味の付いた宗田節は、最後には煮物や、身をほぐしてお茶漬けにして食べることができ、余すことなく利用できるのが特長だ。

こだわり

年々、宗田カツオの漁獲量も減少しており、土佐清水産では量が足りない状況で、原料として県外の宗田カツオも入ってきている。そのような厳しい状況ではあるが、当商品は土佐清水産のみに限定。節工場の方に、だし醤油に合う節を厳選してもらい仕入れている。取引の価格も市場に左右されないように設定し、商品デザインは地元の方に作成してもらうなど、「メイドイン土佐清水」にこだわった商品として売り出している。

現在の状況

市内の飲食店でのテスト的な販売から始まり、現在では、足摺温泉郷のホテル、高知市内のホテルをメインに売り上げは順調だ。特に、足摺温泉郷のホテルでは、土産品の売り上げの1位になっている。

さらに家庭用としても定着するようになり、県内のスーパーでも売り上げは順調である。個人客からの注文も増え、需要は着実に右肩上がりだ。

また、立ち上げ時には2名体制だったが、当商品の売り上げが伸びてきたことで、新たに4名を雇用し、生産体制も整いつつある。

当商品の認知度が高まってきたことで、本格的に宗田節のPRに力を入れるべく、土佐清水市では「宗田節をもっと知ってもらいたい委員会」を立ち上げ、地域挙げての取り組みへと発展している。

これから

土佐清水は、県内でも観光資源の多いところである。

ウェルカムジョン万カンパニーでは、その地の利を生かし、商品と観光をセットで売り込むことも、地域を盛り上げていく一つの要素だと考えている。宗田節商品を広め、知ってもらうことで土佐清水市というところに関心を持ってもらう。

県外では一般的に知られていない宗田節商品をいかに販売していくか、今後の取り組みが重要だ。

今後は法人化も視野に入れ、地域から愛され地域に貢献できる企業を目指している。


「土佐清水の一押し商品は?」と聞かれれば「だしが良くでる宗田節」と言われる日も近いかもしれない。

ウェルカムジョン万カンパニー

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